[A-022] The Flying Lizards - The Flying Lizards ('80)
「…はい、散々云って来た様に、オルタナティブ・ミュージックとの違いはですね、つまり、ちゃんと着地してるかどうかなんですよ。衝動のまま暴れまわり、どうにでもなれと放り出すのがアブストラクトで、放り出してそのまま黙ってどうなるか行方を伺うのがアヴァンギャルドだとすれば」
「で、それをちゃんと完成形としての音楽に着地させるのがオルタナティブなんですよ。ポップならポップ、ロックならロックにちゃんと着地させる。つまり、方法論が違うだけでネイティブなポップなりロックと目的地は同じなんです」
「往々にしてそこには計算と、打算と、綿密な設計図が有ったりするワケです。そして、そんな策士が80年代には多く現れるんですよ。その内のひとり、David Cunninghamは英国の現代音楽家ですが、オルタナティブの新しい方法論を思いつくんです。それは、完成されたポップなりロックを、それこそ前代未聞の破壊的なアレンジメントで演奏してしまうことです。つまり、足し算ではなく引き算なワケですね。着地点から飛び上がって宙返りをしてみせたんですよ(笑)」
「デビュー・シングルの『Summertime Blues』、このロックの名曲の演奏はチープを通り越して、最早、物音にしか聞こえません。しかし、誰もが知っている曲であるから、原曲のわずかな面影から聴く者のアタマの中にちゃんと着地してしまう。これはもうマジックですよ。物音が音楽として成立してしまうんですから(笑)」
「完成されたモノを破壊すると云う方法論は、実は既に存在するモノでは有りました。レゲエ等のジャンルで実践されていたダブの手法です。単にシングルのB面を作る金が無いからと、A面の曲をエコーやディレイ等のエフェクターで変調し、マルチトラックを操作、再構築して収録してしまった、この偶然に生まれた技法に、David Cunninghamは着想を得ているはずです。実際、このデビュー・アルバムにもダブ・レゲエ的な楽曲も有ります。一方では先鋭的なニュー・ウェーブ・ロックも有り、エレクトロニックな曲や、あ、そうそう一曲目は高速なブレヒトだったり…とにかく、邦題『ミュージック・ファクトリー』に相応しい、あらゆる音楽の破壊と実験が行われているワケです」
「既存のモノの価値の転換や破壊と再構築と云えば、芸術で云うとダダイズムですか、Flying Lizardsも現代音楽家が主宰する為か、その文脈で語られることが多いですけど、しかしやはり、破壊的なアレンジやダブの手法等で音楽の破壊と実験を行っても、兎にも角にもそれらをポップやロックとして着地させると云うココロザシ、『Money』なんかはヒットしてしまうワケですが、それはやはり、オルタナティブ・ミュージックの手本と云うか、理想、であると思うんですよね」(談)
その他のアルバム
The Flying Lizards - Fourth Wall ('81)
2nd。前作と比べると『ニュー・ウェーブ・バンド』として整理・整頓・洗練されたカンジで、『カッコ良くて』チト萎える。このアルバムの日本での評価が高いのは、多分、坂本龍一が評価したからだと思う(笑)。
Michael Nyman - Michael Nyman ('81)
Jane Campion監督の映画『ピアノ・レッスン』('93)の音楽でおなじみの英現代音楽家。David Cunninghamのアートスクール時代の音楽教師でFlying Lizardsにも参加している。この初期のアルバムの中の『Bird List Song』はFlying Lizards『Fourth Wall』収録の『Hands 2 Take』とヴォーカルが違うだけの異名同曲。
0 件のコメント:
コメントを投稿