2011/11/23

[A-021] Laurie Anderson - Mister Heartbreak ('84)

(今回の内容に関連して)今の『女神』って誰だろうと考えてたら、Bjorkが思い当たった。時代の才能が作り出したどんな実験的な音でも、全部『ポップ』に落とし込んで、ちゃんと感動する『音楽』に仕上げてくれる。…ってことで、新譜を聴こうかな。


[A-021] Laurie Anderson - Mister Heartbreak ('84)



『パフォーマンス』…今では『C/P(コスト・パフォーマンス)』の一語としての使い方が最も一般的では有るが、80年代には、新しい芸術の一分野『パフォーミング・アート』として大変に持て囃されていた。

もちろん忽然と現れたワケでは無くて、60年代から『ハプニング芸術』としてその存在は有った。多国籍アート集団『Fluxus』や、我が日本の誇る小野洋子ことヨーコ・オノや赤瀬川源平他の『ハイ・レッド・センター』等のお歴々が行った、行動や状況、そしてその計画や思想そのものを芸術として捉えるムーブメントだ。Joseph Beuysや白南準ことNam June Paik各氏はFluxus系のアーティストではあったが、80年代には『パフォーマンス』の流れで再評価され、新たな活動もした。

そして、パフォーマンスは音楽と結びついた。『ハプニング』の時代は行動や状況に伴うノイズや静寂を『音楽』として捉える等、非常に前衛的な作品が多かったが、今回は『ポップ』にちゃんと着地させることが多かった様に思える。時代背景だろうか。もはや60年代のアバンギャルドでアブストラクトな『フリージャズ』の時代では無かったからかも知れない。

どんな時代にも必ず『女神』が居る。そして、その時代を知るにはその女神を見聞きすれば良い。何故なら、女神の周りには必ずその時代を代表する才能を持ったオトコどもが群がるからだ(笑)。バイオリンの胴にテープレコーダーの再生ヘッドを取り付け、弓にオーディオ・テープを張り、バイオリンを弾く様に音を再生させる等のテクノロジーを利用した独特のアイデアによるパフォーマンスと、そのクールでモダンなルックスで、Laurie Anderson (Vo,Vin,Key)はそんな『パフォーマンスの時代』の女神だった。

Adrian Belew (G), Anton Fier (Dr), Bill Laswell (B), Peter Gabriel (Vo), David Van Tieghem (Per), Nile Rodgers (G)等々、正に時代を代表するオルタナティブ系アーティストが揃い、そして極めつけはビートニク詩人William S. Burroughs (Vo)まで参加して、先鋭的でありながらもキッチュなポップの上に、Laurieのキュートでありながらもドスの効いた(笑)ポエトリー・リーディングや歌が散らばる。これぞ『オルタナ・ポップ』だろう。…ね。だからコレ一枚聴いとけば良いのだ(笑)。

『ハプニング』には時代に対する暴力的な『怒り』が有った。しかし、『パフォーマンス』には時代に対するシニカルな『笑み』が有る。満ち足りた世界の、爛熟した果実。『一所懸命』『頑張る』ことが何やら恥ずかしい事になってしまった時代にこそ、そんな『芸術』は有り得たのかも知れない。…そして、今、消え失せた。


その他のアルバム

Laurie Anderson - Big Science ('82)



1st。誰だか忘れたけど、音楽評論家がこのアルバムの『O Superman』(Laurieの声のサンプリングとヴォコーダーで構成した曲)を家の電話の待機音に使ったら、セッ○ス中と間違われたと書いてたけど(笑)、さすがにネタだろうなあ…。

Laurie Anderson - United States Live ('84)



83年のNYでのライブを収めたアナログ5枚組(CD4枚組)超大作。『パフォーマンスの時代』の金字塔。

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