[A-020] King Crimson - Three of a Perfect Pair ('84)
80年代に入って、いわゆる『プログレッシブ・ロック』はかつての勢いを失っていた。70年代後半に登場したパンクがニュー・ウェーブやポスト・パンク(オルタナティブ)、テクノ・ポップに発展、隆盛を極めるにつけ、プログレの持っていた『テクニック重視』の『大仰なロマン主義』は、ことごとく『古臭い』『時代遅れ』な代物となってしまったからだ。
そしてプログレの大御所たちも、片や活動を停止したり、片やモダナイズして再起を図ったりと、各々の判断が有った。プログレのオリジネイターたるKing Crimsonを(或る意味『なし崩し』的に)率いて来たRobert Fripp (G,Key)も、バンドとしての活動は停止させてはいたが、過去のヒトになることを恐れるかの如く、様々なミュージシャンとの交流を含め、常に斬新な音楽的なコンセプトを探っていた。
そこで出会ったのが、ミニマル・ミュージックなのだろう。70年代初期からTerry RileyやSteve Reich、Philip Glass等、アメリカの現代音楽家が実験してきたジャンルが、この頃には完成、そして一定の評価を得ていた。アフリカ音楽やバリ島のガムラン等にヒントを得た、細かく繰り返すフレーズをいくつも重ね合わせて壮大なアンサンブルを構築する手法は、変態的なアルペジオを得意とするFrippの作風にも打って付けだ。
しかし、アンサンブルであるからにはギター一本ではダメだ。しかし、彼に並ぶ変態的な技巧を持つギタリストはそうそう居ない…と思っていたところに現れたのが、Frank Zappa Band、David Bowie Band、Talking Heads等、恐ろしくテクニカルだったり恐ろしく変態的だったりする(笑)、数々のバンドを渡り歩いてきたAdrian Belew (G,Vo,Per,Dr)だ。Frippは彼と、新しい多弦楽器Chapman Stickを操るTony Levin (B,Vo,Key,Stick)と云うふたりのアメリカ人に出会った時、King Crimsonの再始動を決めたのだろう。
新生Crimsonの評価は、非常に斬新でユニークな音楽であったにも関わらず、散々だった。やはり『King Crimson』の名前であるからには、聴く者は往年の『プログレ』を期待してしまう。わたしも、なぜ今更『King Crimson』の名前を使ったのか当時は判らなかった。そうして2枚のアルバムを発表した後、80's Crimsonとしては結果的に最後となるアルバム『Three of a Perfect Pair』がリリースされた。
このアルバムは、King Crimsonのキャリアの中で、恐らく『最もポップである』。そして誤解を恐れずに云うのならば、『最も完成度が高い』。Frippが、周囲の不評の中で『King Crimson』として続けて来た最後の曲に、往年の名曲『Larks Tongues in Aspic』の続編を置いたのも、自信と、やりたかった事をやり遂げた満足感の現れなのだと思う。
その後、現在の『ポスト・ロック』に至るまで、この80's Crimsonの影響を受けているバンドは非常に多い。それは、オルタナティブなコンセプトをちゃんと『ポップ』に着地させたからこその汎用性なのだろう。『Progressive Rock』の本来の意味とは何なのだ、と、Frippは聴く者にナイフを突き付けていたのかも知れない。その『King Crimson』と云う名前と共に。
その他のアルバム
King Crimson - The Great Deceiver ('92)
'73-'74のライブ4枚組CD-BOX。ハードロック、フリージャズ、ノイズ/インダストリアル、現代音楽、全ては突き詰めるとKing Crimsonになる!…と、自分は以前よくホザいていたが、これには周囲も苦笑い(笑)。
King Crimson - Islands ('71)
で、結局お前はCrimsonでどのアルバムが一番好きなのかと問われれば、コレなのです。ただ、ただ、美しい。
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