2011/10/19

[A-016] John Foxx - Metamatic ('80)

この夏の猛暑のせいなのか何なのか、体質が変わって何だか非常に汗かきになってしまった。ついでにホコリにも弱くなったらしく、雑然とした物置たる自室ではやたらとくしゃみが出る(笑)。更年期障害だろうか。『命の母A』の出番かも知れない(笑)。


[A-016] John Foxx - Metamatic ('80)



かの漫画家/マイブーマーのみうらじゅん氏に拠れば『ヒトは褒められたくて生きている』んだそうだ。考えてみれば確かに、ヒトが何かを成し遂げる時、それは多かれ少なかれ、根拠の有る無しに関わらず、『自信』に拠って立った結果であり、その自信を産み出したのが『褒められる事』だったはずなのである。人類歴史上の普遍的な永久機関なのだ。

そして、70年代も半ば、イギリスにひとりの自信満々な若者が現れた。John Foxx (Vo,Key)。彼の結成したUltravoxは、ジャーマンロックのシュールなエレクトロニクスと、グラム/サイケデリック・ロックの衝動とロマンとデカダンを融合するという、その時代に於いて非常に先進的なコンセプトを持ったバンドであった。

Brian Eno、Steve Lilywhite、Conny Plank、錚々たる面々をプロデューサーに迎え、三枚の渾身のアルバムが制作された。…が、売れない。…新し過ぎたと云えば聞こえは良いが、ウケないと云うことは、ヒトのやる気を無くさせる。やっぱりヒトは褒めてもらえないとダメなのだ。

そして、ヒトは拗ねる(笑)。彼はバンドを脱退する。彼がリーダーだったので、バンドも事実上活動は停止。…だったはずが、新しいヴォーカルMidge Ure (Vo,G)を迎えて再スタートする。後々、こっちがウケてしまうのであるが(笑)。

そんなバンドの運命も知らず、彼は引き篭もった。ソロアルバムを作る為ではあるが、そのアルバムはセルフプロデュース、エレクトロニクスを用いたワンマン・アルバム。『Metamatic』は、Ultravox時代に追求したジャーマン・エレクトロニクスをさらに突き詰めたサウンドなのだが、そこには非常な『孤独』と『人間不信』が感じられる。寒々としたリズム・ボックス、ギザギザとしたベース・シンセ、そして突き放すようなヴォーカル、冷たい歌詞…。荒涼とした世界が、その時の彼の心象風景だったのだろう。

かつて自分の居たバンドの成功を横目で見ながら、彼は自身のスタジオで録音したセカンド・ソロの『The Garden』('81)を発表する。それは前作から一転、小鳥のさえずりさえも聞こえる『自然回帰』を謳ったアルバムに見えたが、その実、『厭世』『隠遁』を歌ったアルバムなのであった。…そう、前作より『ヒト嫌い』は重症化していたのだ(笑)。

その後が心配であったが(笑)、Ultravoxの成功で再評価され機嫌を良くしたのか、バンド・サウンドの3rdソロ『The Golden Section』('83)発表とそれに伴う日本も含む世界ツアー、プロデュースやコンピレーションアルバムへの参加、そしてポップな4th『In Mysterious Ways』('85)のリリーズ等、スローペースではあるが、着実に存在感ある活動をしていた。

…のだが、突如、活動を休止してしまう。グラフィック・アートの活動に専念する為とのことだったが、わたしはその時何故か「うつ病患者が直ったと思ったら…」等と大変に不謹慎な事例を思い浮かべてしまった。今では復活して、非常に地味な音楽活動ながら来日もしたみたいだが、やっぱり、あの時Ultravoxがウケていたら、もっと違う彼の音楽があったのではないかと思うのだ。

このアルバムを聴くと、今でも薄ら寒い空気が漂う。それはあの時の彼にしか成し得なかった、だからこその傑作なのであろう。…それでも皆さん、なるべくヒトは褒めて伸ばしましょう(笑)。


その他のアルバム

Ultravox - Systems of Romance ('78)



ジャーマン・ロックの立役者Conny Plankプロデュースの『テクノ・ロック』の傑作。本作を最後にJohn Foxxは脱退。

Gary Newman - Telekon ('80)



Ultravox/John Foxxフォロアーなのに本家より売れちゃった(笑)。Johnたん…。

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