2011/09/12

[A-011] Art of Noise - (Who's Afraid of?) The Art of Noise! ('84)

9.11同時多発テロ十周年だとかで、ドキュメンタリーや検証番組が軒並み放送されているけど、あの現代音楽家Steve Reichもそれにちなんだ新曲をモノしたそうで、弦楽四重奏団Kronos Quartetによる初演が放送されていた。…しかしまあ、民族主義、教義的、社会派になってからの彼の曲は元々あまり好きではないけど、それは別にしても、パーカッションの無いReichの、なんとつまらないことだろう。


[A-011] Art of Noise - (Who's Afraid of?) The Art of Noise! ('84)



テクノ・ポップを殺したのは誰?…わたしよ、とサンプラーは云った(笑)。

取り込んだ現実音を加工し、楽音として使用出来るサンプラーは、新しい電子楽器と云うよりは、シンセサイザーのバリエーションとして登場した。それはシンセサイザーと同じ『楽器の代用品』としての使用法が考えられていたからだ。

過去には、アナログのレコーディングテープに楽器音を音階ごとに録音、それを個々に再生し演奏する『メロトロン』なる楽器が有ったが、今回のサンプラーはデジタル・レコーディングだ。しかしそこは黎明期の悲しさ、録音するメモリー媒体の容量が少ない為、必然的に録音時間の短い音をシミュレートする機会が多くなる。

そこで、打楽器のシミュレートが考えられた。実際のドラムセットを丸ごと録音してしまえば、どんなアナログドラムマシンよりもリアルなモノが出来るはず。…この考えで作られたのが、Roger Linnの『Linn Drum』だ。一流ドラマーの音をサンプリングして、確かにリアルなドラムマシンを作り上げた。

『一流ドラマーをお手軽にいつでもどこでも何度でも使える魔法のマシン』となれば、これは爆発的に流行するのも当然。…しかし、人間に似せ過ぎた人形が『不気味の谷』に落ち込む様に、電子音と違ってやたらと重い、それでいて機械的で無表情なビートが、音楽を暴力的に淡々と進めて行く『不気味な音楽』を生み出し、そしてそれは巷に溢れかえった。

そんな中、サンプラーの楽器としての更なる可能性を考えていたのが、ZTTレーベルのプロデューサーTrevor Hornだ。彼の最大の発明にして音楽に対する功績は、あの弦楽オーケストラの「ジャン!」と云う演奏を取り込んだ『オーケストラ・ヒット』の発明だが(笑)、楽器音そのものではなく、演奏や発音の『シチュエーション』を丸ごと取り込むと云うこの考え方こそが、サンプラーの真の音楽的進化に繋がった。つまり、DJがレコードで行っていた『ブレイクビーツ』や、現代音楽家たちがアナログテープで行っていた『ミュージック・コンクレート』等の流れを汲んだ、ドラム等の演奏そのものを楽曲に使う『ドラム・ループ』である。

殆ど彼のワンマン・グループであると云われていたArt of Noiseのこの1stでも、自動車の始動音と云うシチュエーションを取り込んで、それを音階で鳴らしている。それも含め、大半はサンプラーで行った実験…と云えば聞こえは良いが、要はオモチャで遊んだその音をリズミックに垂れ流した様な曲が続く。そこにはロマンティックな電子音は無く、ガサガサとした現実音のシュールな配列が立ち並ぶだけだ。

Linn Drumやサンプラーにより、テクノ・ポップは緩慢な死を迎えていく。時代の変化は、もはや素朴で微笑ましくもある電子音を必要としなくなっていたのだ。しかし、『Moments in Love』…スラップスティックな作品の中、このゴシック・ロマンティックな曲だけは、そんな『電子音の時代』へのレクイエムにも聴こえてくる。


その他のアルバム

Buggles - The Age of Plastic ('80)



Trevor Horn (Vo, B)、Geoffrey Downes (Key)他による人力エレポップバンドの1st。その後二人はプログレバンドの大御所Yesに加入。

Frankie Goes to Hollywood - Welcome to the Pleasuredome ('84)



エログロナンセンスなPVで大ヒットした、ZTTレーベルの誇るアテ振りバンド(笑)。「Beatlesを超えた!」(笑)

0 件のコメント: