2011/07/24

[A-006] Prince - Lovesexy ('88)

音楽評論家の中村とうよう氏が、21日、亡くなった。自宅マンションからの飛び降り自殺だそうだ。わたし的には『ミュージック・マガジンのワールド・ミュージックおじさん』ってなカンジの認識しか無かったけど、日本の音楽評論の祖としてのその知識と大家らしい歯に衣着せぬ弁舌には憧れておりました。自死の方に相応しいコトバかどうかは判らないけど、ご冥福をお祈り致します。


[A-006] Prince - Lovesexy ('88)



え?…っと思われたかも知れない。Prince殿下である(笑)。あのミネアポリス出身の天才少年、長じて爬虫類系裸の王子様である(笑)。そんな『オルタナティブ』から程遠いヤツをココに入れていいのか?…おっしゃること、ごもっともです(笑)。

いやいや、Princeは判った。確かに80年代に大きな足跡を残した不世出のポップ・スターではあるだろう。しかし、何で『Lovesexy』?…と思われた方もいらっしゃるかも知れない。あの評論家の間で軒並み80年代ベストアルバムに選ばれた『Parade』('86)や、映画と共に大ヒットした『Purple Rain』('84)、いやいや出世作『1999』('83)やサイケ風味の『Around the World in a Day』('85)ではないのか?…おっしゃること、ごもっともです(笑)。

しかしこんなにオルタナティブなアルバムは無いのですよ。何しろこのCD、トラック信号が無い(笑)。一応9曲入りなのだけれど、一曲目から最後まで、ノンストップ。いくら何でも、そんなセールスに響くような仕様に、マトモなポップ・アーティストならするワケが無いし、そしてもちろん、会社も許すはずが無い。しかし、それをやり得たのがこの時のPrinceと云うアーティストであり、そして会社がそれを許さざるを得ない程のビッグ・ネームであったと云うことでありますな。

彼は成した音楽的功績は『ファンクの解体と再構築』と云うモノであると考えているんだけど、…云わばPost PunkならぬPost Funk。Jimi HendlixやSly Stoneの影響は有れど、従来の黒人音楽のフォーマットからの脱却を目指していたと。しかしそれは、これまた80年代に隆盛を極めた『ブルーアイド・ソウル』や『ブラック・コンテンポラリー』的な、所謂『洗練』とはまた違う方法論、正に『オルタナティブ』な手法によって、もうひとつの黒人音楽としての『プリンス・ミュージック』としか云い様のないモノを、しかもちゃんと判りやすい『ポップ』として提示しているんだよね。

機械的なリズムに、最小限のギミック、そして、彼の声。それでもちゃんと、肉感的なグルーブと切ないポップセンスを表現出来る。しかも『新しい』。ひょっとして、Hip Hopが天下を取らなかったら、この『プリンス・ミュージック』のフォーマットが、新世紀の黒人音楽として隆盛を極めていたかも知れない。…ね、殿下。


その他のアルバム

Prince - Sign O the Times ('87)



二枚組み大作。あのMTV全盛期に、殿下どころか誰も登場しない、ただただ歌詞が流れるばかりのタイトル曲のPVには度肝を抜かれた。


Prince - Batman ('89)



Tim Berton監督作 ('89)のサントラ。♪バ~ットマ~ン、農協牛乳っ!(笑)

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