[A-005] Scritti Politti - Cupid & Psyche 85 ('85)
オルタナティブ・ミュージックと云うモノは、実はその生成過程からして実にイイカゲンなモノだと思う。…ぶっちゃけ、『失敗作』なのだ(笑)。
このScritti Politti、初期音源を聴いてみると、掻き鳴らされる一本調子なギターにパンクっぽい朴訥なベース、そしてそこにGreen Gartside (Vo,G)のナヨナヨした中性的なボーカルが載ると云った実に奇妙なモノだ。でも、良く聴いてみると彼のボーカルはその声質に似合わないニュアンスを含んでいるのが判る。実に『ソウルフル』なのだ。
そして1st『Songs to Remember』ではニューウェーブ・ポップ的な乾いたサウンドに、そのナヨナヨ・ソウルフル声が乗る…んだけど、その声の線の細さからか、多少豪華になったバックに埋もれて、決して快適な『歌』では無い。いや判る。本人は野太く歌い上げたいのだ。バックのソウルフルな女性コーラスが恨めしいのだ(笑)。
そしてこの2ndで彼は武器を手に入れた。テクノロジーだ。Fairlight CMIと云う最新のコンピューター楽器だ。彼はこの楽器の自動演奏機能を使った。ひとつの楽器音は単音でしか演奏出来なかったから、沢山のフレーズを重ねて複雑な音を作った。それが独特のテクノ・ファンクとなり、しかもその重厚だが風通しの良いサウンドが、彼のナヨナヨ声を生かした。何たるラッキー(笑)。技術の限界を逆手に取ってアドバンテージにする…わたしそう云うの大好き(笑)。
しかし、気がつけば結局、彼がやりたい音楽からはますます離れてしまって、実は彼は歯噛みしていたのかも知れない。…いや、オルタナティブ・ミュージックと云うモノはそう云うモノなのだ。やりたいこと、目指したことが様々な要因で実現出来ず、失敗してしまった『残骸』なのだ。だけど、それは従来に無い新しさと個性を輝かせて、ずっとわたしを魅了し続ける。カンタンに目的を実現してしまった器用な音楽よりは、よほど愛おしい。
その他のアルバム
Scritti Politti - Provision ('88)
『Cupid & Psyche 85』がヒットしたので路線踏襲テクノ・ファンク。前作の『Perfect Way』をカバーしたジャズの帝王Miles Davis (tp)が参加。
Scritti Politti - Anomie & Bonhomie ('99)
『Provision』から11年掛かって、やっと生楽器を使った普通のポップに(笑)。その分オルタナティブ成分もナヨナヨ声だけになっちゃった。
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