[A-004] Ambitious Lovers - Greed ('88)
Arto Lindsay (Vo,G)は何とも昔から奇妙なヒトであった。70年代後期のニューヨーク・アンダーグラウンド・シーンでの登場から今まで、自身のやってることは何一つ変わらない。全くチューニングされていない歪んだギターを掻き鳴らしながら、白人らしい線の細い声で、時に呟き、時にガナリ立てるかの如きヴォーカルを撒き散らす。
しかし、彼を聴く事の出来る音楽は非常にバラエティに富んでいるのだ。『DNA』の様なジャンキーなパンク、『Lounge Lizards』の様なフェイク・ジャズ、『Golden Palominos』の様なヒップ・ホップ…でも、彼のやってることは変わらない。ギターを掻き鳴らし、雄叫びを上げるだけ。
で、このアルバムはテクノ・ファンクだ。しかも非常にポップ。PVまで作ってヒットを狙ったんだから昔を知るものからすれば隔世の感が有る(笑)。まあでも、テクノ・ファンクとしては個人的にはMichael jacksonの『BAD』に匹敵すると思える程の出来なんだけど、しかしこのアルバムには、彼のスタイルに関するヒントが散りばめられていた。
ラテン・パーカッション、ボサ・ノヴァ、サンバ、…そう、彼のルーツたる『ブラジル』が、ポップの隙間から滲み出して、踊っている。彼のボーカルも、ギターも、彼の生まれたブラジルの音楽の影響が色濃くあったと、正にこのアルバムは『告白』している。割と唐突だったんで、わたしは驚いたんだけれども(笑)。
つまり、数々の音楽に於ける彼の役割と云うのは、その音楽を『異化』させる為の、音楽上の『スパイス』としての装置だったワケなんけど、このアルバムで、その秘伝のスパイスのレシピが公開されたと。
『異化』の秘密は『異文化』だったんだね。大っぴらなワールド・ミュージックの陰で、ひっそりとオルタナティブ・ミュージックにラテンの風を仕込んでいたメガネのお兄ちゃん(笑)…世界でただ一人、ギターの弾けないギタリスト(笑)…まじパネェす。
その他のアルバム
Arto Lindsay - The Subtle Body (O Corpo Sutil) ('96)
そして完全にブラジルへ行ってしまったボサ・ノヴァ・アルバム。邦題『曖昧な存在』。
Peter Scherer - Very Neon Pet ('95)
Ambitious Loversのもう片割れの職人キーボーディストのソロ。ストレンジなテクノ。一時期聴きまくってた。
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