[A-003] Roxy Music - Avalon ('82)
大雑把に云って、70年代からのパンクの80年代に於ける『成就』と云うか『最終形』と云うか『成れの果て』(笑)が、The PoliceのSynchronicity、プログレのそれがPeter GabrielのSoやYesのBig Generatorだとすると、あれ程70'sロック界を席巻した『サイケ』『グラム・ロック』は果たしてどうなったか?…こうなりました(笑)。
初期にはあのBrian Enoも在籍してお化粧して派手な衣装で楽器を弾くフリをしていた(笑)、いわゆるグラム・ロックの雄であったRoxy Musicもこれがラスト・アルバムとなるんだね。
多くのヒトに影響を与えたBryan Ferryのヴォーカル・スタイル…例えば中期の高橋ユキヒロなんか厭味なくらい意識してたと思うんだけど…あの何と云うか美意識と自意識の塊の様な存在感の声は、なるほどサイケデリックでエキセントリックな音空間では確かに映えるワケですわな。と云うか、殆ど『グラム・ロック』と云うジャンル自体がそう云うナルシズムの奇形を傍から観て楽しむ様な所が有ったワケで。
でもやはり、そんな彼のヴォーカルも、そしてバンドの音も、年を重ねるごとに化粧が落ちて来る(笑)。『成熟』と云えば聞こえは良いが、要は皆さん大人になって恥ずかしくなって来るワケですな(笑)。しかし、今更物分りの良いロックをやる気も無い。そして、最後に辿り着いたのがこの桃源郷『Avalon』。
パーティーは終わった。おら疲れちまっただ…。あのナルシズム声も力無く聞こえる。…70年代を生きて来たひとたちにとって、80年代と云うのはこう云う気分だったのかね。気が付くと狂乱の祭りは終わって、何だか真面目で行儀の良い、しかし何だか薄ら寒い世界が広がっていたと。
このアルバムの音自体が、広大な空間に満ちる恍惚感と虚脱感を聴かせながら、その裏に潜む薄ら寒い虚無感の陰影で深みを増している様に思えるんだよね。諦念と終息、でもどこかしら恨めしい感情…『死』に向かう情動と云ってしまったら身も蓋も無いけど、眠りに落ちる寸前の無表情と云うか、『溜息』だ。溜息の音楽。
80年代の先に待っていた混沌の世紀末、そして殺伐とした新世紀…。『Avalon』は、今のヒトのこころにこそ響くんじゃないかと思う。
その他のアルバム
Roxy Music - Flesh & Blood ('80)
初めて買った洋楽シングルが、このアルバムの中の一曲『Same Old Scene』だったと思う。ロックなのにリズムボックスの音で始まるのが新鮮な衝撃だったあの頃…。
Bryan Ferry - Bete Noire ('87)
故・今野雄二氏によると、Alan Parker監督の映画『Angel Heart』('87)へのオマージュ的なアルバムなんだそうな。映画もこのアルバムも大好き。
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