2011/06/19

[A-002] Peter Gabriel - IV ('82)

何の計画も無くやるのも不安になって来たから、取り敢えず出そうかと思ってるアルバムを書き出してみたら、優に100枚は超えた。…ちょっとホッとする反面(笑)、いわゆる『定番』『必聴アイテム』を結構聴かずに今まで来たことに気付く。

でもねえ、結局人間は、音楽に限らず感受性の一番高い『青春期』に触れたモノに一生影響されるぐらい衝撃を受けてしまうから、今それら未聴の『定番』『必聴アイテム』を聴いたとして、リストアップされた愛聴盤を上回る評価を下すとも思えず…まあ、そう云うことにして自分の不勉強は糊塗してしまおうと(笑)、そう云うワケであります。


[A-002] Peter Gabriel - IV ('82)



前回のSynchronicityは、自分の中では『Altern-Pop』扱いなので、しばらくその路線のアルバムを紹介して行こうかなと思っている。で、今回のこれもそのオルタナ・ポップの中でも傑作のウチのひとつ。

70年代後期~80年代初期の音楽ムーブメントとして『エスノ』、つまり民族音楽が有った。西洋音楽の限界を感じ始めていた先鋭的なミュージシャンたちが、こぞって第三世界のリズムや旋律やハーモニーを研究したり、その特殊な声や楽器による実験を始めていた。前回のThe Policeらがレゲエを取り入れたりしたのもその流れだった様に思う。

で、今回のPeter Gabrielもエスノにハマった。どのくらいハマったかと云うと、自費で民族音楽フェスを開催したり、エスノ系ミュージシャンを集めたオムニバスアルバムを作ってしまう程なワケで、この時点で『エスニック大将』と呼ぶに相応しい御仁となっていた(笑)。

自身の音楽の実験は3rdアルバムの『III』ですでに試みられていて、特に南アフリカの人権活動家Steve Bikoの死を扱った『Biko』ではアフリカン・ドラムを取り入れ、スケールの大きな楽曲として完成しているんだけれども、やはりこの4thアルバム『IV』が、多彩な実験が試みられていてオルタナティブ的な観点から中々質が高い。

ブルンディ・ドラムが激しく鳴り渡る一曲目から、広大な空間にガムランが鳴り響く二曲目、そして最終曲のリズムの洪水…彼は民族音楽のエッセンスでは無く、情熱そのものを取り入れようとした様に思えるんだよね。その歌唱法も、自分の中の本能から搾り出す様な『雄叫び』に近いギミックをこれでもかと練り込んで、土にまみれ、泥を舐めた野性を要求していると。

そして、何事にも『洗練』はやって来る。80年代後半には、『エスノ』のムーブメントはものの見事にお洒落な『ワールドミュージック』に変貌した。ロックやポップスにエスニック風味を取り入れるためのテンプレートが完成、普及し、どなたでも簡単にちょっとエキゾチックで野趣あふれる音楽が出来る様になり、逆にそれが、民族音楽を奏でる当事者たちにとっても、自分たちの音楽をロックやポップスに変換する際のテンプレートとなったワケだ。それはつまり、彼らの音楽が世界に向けて売れる事の自覚をも促したんだね。

それもこれもエスニック大将たちの数々の実験のお陰なワケです(笑)。『ランバダ』でも聴きながら感謝致しましょう(笑)。


その他のアルバム

Peter Gabriel - So ('86)



このアルバムがリリースされた時、あまりにも売れ線狙いへの変貌に、反感を覚える程にビックリしたのを覚えてる。…今聴くと、それほどでも無いんだけどね。

Peter Gabriel - Passion ('89)



Martin Scorsese監督の映画『The Last Temptation of Christ』('88)のサントラ。名だたる民族音楽家たちを拉致、スタジオに監禁し、そこで強制的に演奏させ録音した膨大な音源を元に、RealWorldレーベルの音楽は作られているらしい(笑)。

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