2012/03/09

[A-032] Neu! - Neu!2 ('73)

今気が付いたのだが、このブログ、ローカルでは全くバックアップを取っていない。…ので、もしも鯖が事故ったり、グーグルせんせいに規約違反で削除されたり、採算取れないからとサービス終了されたりしたら、ココに書き込んだことは全て電子の海の藻屑となってしまうのであった(笑)。…ま、それも良いかなとは思うけど。


[A-032] Neu! - Neu!2 ('73)



ドイツと云う国とその国民性を前々から少しオカシイと思っていた(笑)。常にマジメな顔して実にマジメに途方も無くバカバカしいことをする。ラテンの陽気なバカとは違う、根がマジメゆえのバカさ加減。我々日本人がシンパシーを抱くのも当然だろう(笑)。おまけに農業国であり、工業国でもある。シンパシーは膨れ上がるばかりだ。

その工業国ドイツでかつて或る興味深いキカイが開発、実用化された。そしてそれは二次大戦の戦時下で、軍用目的での発展を遂げる。音声を磁気テープに記録するキカイ、俗に云う『テープ・レコーダー』だ。戦後その技術は世界中に広まり、一般家庭に普及するまでになった。…さて、開発が進み、遂にはテープがコンパクトなカセットに入るまでになってしばらく後、ごく一般的な財力であった某日本人の家庭にもようやっと普及したのである(笑)。

いくらなんでも彼は「テレビが我が家にやって来た!」と云う世代では無いが(笑)、『カセットテープ・レコーダー』が家にやって来た時の事は子供ながら良く覚えている。それはモノラルでスピーカー付きの、いわゆる『ラジカセ型』だったが、ラジオは無かった。しかし、内蔵の『マイク』は付いていた。なので当然、彼は、あらゆるモノを録音し始める(笑)。

飼っていたインコの鳴き声とか、テレビドラマの主題歌とか、オトナのイビキとか、友達の声とか、色々な『音』の前に本体をぐっと差し出して、機械式の重たい録音ボタンと再生ボタンを両手の親指で同時にガッチャンと押して、録音した。テープは使いまわしだった為、音は殆ど残らなかったが、普段周りに有る空気を、何だか『殺菌』して閉じ込める様な行為自体に、ひどく興奮した。

その内、機械式ボタンを半押しすると、中のメカが非常に中途半端な状態で動作する事に気付く。早送りボタンを再生中に力を加減して半押しすると、音声は再生されたままスピードを上下させ、まるで小人か、怪人か、あるいは両方が一人の口で呟いている様なユーモラスな音がした。まあ、そんな遊びにハマった末、彼のオモチャが壊れるまでにはそれほど時を要さなかったのではあるが…(笑)。

元KraftwerkのMichael Rother (G)とKlaus Dinger (Dr,Vo)、そしてプロデューサーであるジャーマン・ロックの重鎮Conny Plunkも、この『ハンマービート』と呼ばれる独特の均質なリズムを中心とした実験的なバンドNeu!の2ndアルバム録音中に資金が尽き、アルバム一枚分の曲が録音出来ないとなった時、そんな経験の記憶が頭をもたげたのではないだろうか。…いや、マジメで優秀なドイツ人と、極東のバカな子供を一緒にしては申し訳ないが…(笑)。

だが、アルバムB面を占める、『Neuschnee』と『Super』の二曲を、アナログレコードの如く速度を変えたり針飛びさせてみたり、そしてあの『ボタンの半押し』の如くふらふらとした異様な音を作り出したりと、マジメなヒトならせっかく購入したレコードを叩き割ってしまうであろう悪ふざけが過ぎる曲たちを平気で収録しているのは、ハッキリ云って『バカ』だろう(笑)。同じ様な財政理由から生まれたレゲエの『ダブ』よりも芸が無い(笑)。

しかし世界を『殺菌』して『異化』させる、あの妙な興奮を、この音たちを聴く度に覚えるのだ。もしかしたら本人たちは本気でこの音に興奮して、実にマジメに収録したのかも知れない。思えば、ここまでの、媒体としての『アナログ』そのものを表現した『音』が、他に有っただろうか。あの時、聞いた『音』。…かの日本人の家から『カセットテープ・レコーダー』が去って、随分経つ。


その他のアルバム

Harmonia - De Luxe ('75)



Michael Rotherがジャーマン・エレクトロニクスの雄Clusterと組んだグループの2nd。ジャーマン・サイケの雄GuruGuruのMani Neumeier (Dr)も参加しての、天国のハード・ロック。

La Dusseldorf - Viva ('78)



Neu!解散後にKlaus Dingerが弟のThomas Dinger (Dr,G,Vo)らと組んだグループの2nd。Neu!の正統的発展形に相応しい、ポップで明るくキッチュでキュートな、天国のパンク・ロック。

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